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ブログ8月28~30日の3日間、「ウクライナ&福島 子ども交流プログラム」を実施しました。このプログラムでは、ウクライナから中学生3人を福島に招いて、行政や医療機関を視察したり地元の小学生や家族との交流を通じて日本文化と福島の今を体感したりする企画です。3日を通じて、南相馬市、福島市、伊達郡、いわき市に足を運びました。
また、1泊2日ですが福島市滞在中はホームステイやBBQ・花火大会も取り入れ、地元の人たちとの交流を重視しました。そんな盛りだくさんの交流プログラムの様子をお伝えします。
8月28日(月)1日目
訪問先:南相馬市立総合病院、南相馬ソーラー・アグリパーク
前日夜に日本に到着したウクライナ訪問団を成田空港近くのホテルまでお迎えにいきました!スタッフも含めて合計8人で車に乗り込み、南相馬市を目指します。みんな時差ボケでつらいかな?なんて心配をしておりましたが、みなさん元気。特に子どもはそんなものどこ吹く風で車窓からの景色を写真に収めていたり、おしゃべりをしたりして過ごしていました。
最初の訪問先は、南相馬市立総合病院で、視察内容は2つありました。①「ホールボディカウンター」は体内にある放射性物質を測定する装置で子ども2人と大人1人の計3人が受診しました。カウンターは公衆電話のようなボックスで、直立状態で入り、2分後に結果が出ます。受診者は少し不安そうな表情を浮かべながら数値結果を見ましたが、お医者さんの説明によると問題はありませんでした。
・体内の被ばく量を検知するホールドボディカウンター(上)
・受診を体験するウクライナ人訪問団(下)
そもそも、人間はもともと体内に一定量の放射性物質を持っており、特に放射性カリウムは50キロの人間であれば2000~3000ベクレル程度は検出されそうです。また、体に影響が出る被ばく量は100ミリシーベルト以上とされていますが、実際には1000~2000ベクレルの放射能を50年間浴びたとしても1ミリシーベルト被ばくする程度だといいます。むしろ、日常生活における被ばくのリスクの方がずっと高いのだと教えてくれました。
例えば…
①レントゲンを10回=1~10ミリシーベルト(部位によって異なる)
②CTスキャン1回 =10ミリシーベルト
③喫煙習慣=2000ミリシーベルト
④飲酒=1000ミリシーベルト
⑤肥満=500ミリシーベルト
(↑被ばく量の値と体への影響についての解説)
境原医師は「このように元来の生活の中にリスクを持った要素が多く存在するにも関わらず震災後こうした数値が必要以上にクローズアップされ、敏感になりすぎている」と話していました。
②及川友好同院長による講演。ロシア語と英語のスライドが用意され、英語を交えながらの講演でした。そのため子どもたちもとっつきやすかったとのか真剣に耳を傾けたり活発に質問をしたりしていた。
南相馬市では震災当時71,000人の住民がいたが、その9割が避難を余儀なくされました。同院は福島原子力発電所から23㎞のところにあり、入院患者を全員避難させたが重症患者もいたため別の病院へ搬送される間に具合が悪くなり命を落とす人もいたといいます。放射能の影響について、及川医師は「震災直後は原子力発電所近辺で作られた食べ物は口にしないなどチェルノブイリの反省から国策として被ばく対策をした。その結果、状況をうまくコントロールできた内部被ばくが少なくてすんだ」と見解を述べました。
一方で、震災後は脳卒中の患者が増加するなど放射能の影響よりもむしろ避難生活を強いられたことが原因とみられる健康被害の事例が目立ちました。最後に現在でも日本には17か所の原子力発電所があることに触れ、子どもたちに対してチェルノブイリと福島の事故から原発のあり方を考える必要があると強調した。
・及川院長にお礼の品を渡すアンナ(上)
・震災当時の南相馬市や院の様子の話に耳を傾ける訪問団(下)
講演後の質疑応答の一部をご紹介します。
Q1:震災で病院に運ばれた人数は?
A1:1時間に100人(通常の来院は1日に約10人)
Q2:事故にあった人の中で一番多い病気は?
A2:今のところは放射能による健康被害はないが、可能性として考えられるのは甲状腺ガンや白血病。
Q3:被害に遭った人はどんな治療をしているか?
A3:最初は除染。被ばくが深刻な人は搬送して除染をした場合もあったがエチレンブル(飲み薬)の服用などの必要はなかった。また、甲状腺ガンの予防としてヨウ素の投与もした。