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福島のことをもっと知ってほしいという想いで始まった被災地視察ツアーも今回で5回目を迎えました。今年は4月7日、8日の1泊2日で「知っていますか?ふくしま産のこと~風評被害について考える~」というテーマで行いました。1日目の様子をレポートします。
小名浜魚市場とは
福島県で魚の放射性物質検査施設が有るのは小名浜魚市場と相馬原釜魚市場のみ。現在もまだ試験操業中ですが、ほとんどの魚の出荷制限は解除されています。
この小名浜魚市場をはじめいわき沖で取れる水産物を「常磐もの」と呼びます。古くから海の恵みを大切にし、食文化として育ててきたいわき市の水産関係者とその技術の総称でもあります。常磐ものは同業者の間では大変評判が良く、築地の職人の99%が「うまい」と答えていたそうです。
今回、ご説明いただいたのは小名浜機船底曳網漁業協同組合の前田久さん。
魚を安全に出荷するための検査方法を一つ一つ丁寧に説明をしていただきました。お話の中で「風評被害で魚が売れず、跡継ぎもいないために、このままでは小名浜の漁業が死んでしまう」という原発事故が起きたが故の厳しい現状を説明いただきました。また、日本全国の中で「県名」がついている原発は「福島原発」だけ。そのため福島県全域が放射線の影響を受けていると思っている方が未だにたくさんいる。そのことについて一番、困っている、とも仰っていました。また現在の同施設での流通量が震災前の約10分の1のため今後、毎日、安定して潤沢に市場に出さないと評価をされない、そして、毎日、流通が出来るようになるには福島第一原発の廃炉までかかるのではないか?という将来の懸念を話されていました。
その後にすぐ近くのいわき・ら・ら・ミュウにて美味しいお魚のランチを頂きました。煮魚、お刺し身、汁物など、いわきの海の幸たっぷりのお刺し身定食!ふくしま産を知る=直接、食べて美味しいと感じていただく。これも今回のツアーの醍醐味です。
<福島県農業総合センターで農作物の安全性と放射能測定について学ぶ>
福島県農業総合センター とは
福島県の農業関係の研究機関として2006年に設立。3.11の原発事故以降は県産食物の放射性物質検査を積極的に行っています。
今回、ご説明いただいたのは安全農業推進部の草野憲二さん。非常に精度が高い機能を持った放射能測定器で日々検査を続けている状況をご説明いただきました。また、未だに海外ではふくしま産の農作物が輸入禁止になっている現状などをお話しいただきました。草野さんのお話の中で「全国の消費者でふくしま県産は絶対に駄目と言う方は全体の1~2割くらいまだいる。その2割の方に頑張って理解を強く求めるのではなく、残りの8割の方に正しい理解をしていただけるように進めたほうが良いのかなと感じている」という言葉には強く感じるものが有りました。また同施設は他国からの取材も積極的に受け入れています。ふくしま産の輸出につながる視察も積極的に行っています。それ以外では例えばトルコは将来的に原発の建設計画が有り放射能に関心が高く今後の参考のために訪れました。
こぼれ話として、福島県の放射能測定の頻度は他県よりも高く、同施設を訪れた他県の農産物関係者が「自分の県よりも福島のほうが安全」という言葉を漏らしていたそうです。
奥の松酒造にて
奥の松酒造とは
19代続いている300年以上の歴史がある造り酒屋。全国新酒鑑評会9年連続受賞。
この日の最後の目的地奥の松酒造です。
今回の楽しみの一つでもある奥の松酒造での試飲とお買い物の様子です。このツアーでは特別にお店の方から震災当時のお話を聴く事ができました。「震災直後は放射能の影響で周りからどう思われているか心配だったが、復興や応援という言葉があって3.11の翌月の4月は出荷量の多い12月と同じくらいに増えたこともあった。一方未だに一部の県外の方からは水は大丈夫なのか?米は大丈夫なのか?などの安全性を尋ねられる」などの風評被害を絡めたお話もしていただきました。その後の試飲から購入までみなさん、とてもとても楽しんでいただけた様子でした。
奥の松酒造さまのお酒をいくつかご紹介です。「大吟醸雫酒 十八代伊兵衛:数々の鑑評会で金賞受賞」、「遊佐 純米吟醸:ワイングラスでおいしい日本酒アワード金賞」、「300周年記念酒限定記念酒 純米大吟醸:本数限定、柔らかく滑らかな喉ごし」、「ももとろ(リキュール):完熟桃と奥の松特別純米を絶妙なバランスでブレンド」
花月ハイランドホテル
今回、お世話になった花月ハイランドホテルさま。仲居さんから従業員の方々まで気持ちが良い行き届いたサービスでした。宴会場には写真右の素敵な手作りの看板も掲げられていました。そしてもちろん温泉は最高!!!
1日目の最後は懇親会を行いました。チェフコとなじみの深い福島のゲスト7名をお迎えして熱く語り合いました。「私たちが風評被害に対して身近に出来ること」というテーマでグループディスカッションを行いました。そこで出た意見として、行政がより一層、風評被害対策を取るべき、スーパーで「ふくしま産は有りますか?」と問い合わせ、無ければ「置いてください」と言う事が生産者の方たちの力にもなる等々、様々な建設的な意見が出ました。
最後にゲストとしてお招きしたNPO花見山を守る会高橋代表から締めの挨拶をいただきました。
「今回ここで出会えたことも素晴らしいし、人とのつながりが一番大事だと思います。福島のことを少しでも気にかけてもらえてすごく嬉しく思います」と心温まるメッセージをいただきました。
酒盛りや談笑などで、各々盛り上がりましたが、ひとまず本日はおやすみなさい!!
翌日へ続きます。