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2018年ウクライナ支援活動(5月21~29日)
2018年6月5日

先月、今年度のウクライナ支援活動に行って参りました。前回と同じくスタッフ4人での渡航となりました。今回は以前からチェフコが支援している学校や幼稚園、精神病院に加えて公立病院2カ所や消防署、行政施設にもお邪魔しお話を伺うことができました。また、第2回「ウクライナ&福島 子ども交流プログラム」のメンバー選考や体育授業の見学など盛りだくさんの内容になりました。
ウクライナは国全体が財政難だと聞いていましたが、各分野の第一線で働く現地の人の声を通じていかにひっ迫した状態であるかがひしひしと伝わってきました。今回の活動内容とともにウクライナが今置かれている状況や人々の暮らしへの影響について少しお伝え致します。

主な活動内容は
・支援施設の視察/体育授業の見学
・交流プログラムの選考
・各地での聞き取り取材
・シンポジウム開催
です。

《施設見学》
訪問地:ジトーミル第12学校、ジトーミル小児精神病院、ジトーミル小児病院、市役所
オブルチ第3学校、グラドコビッチ幼稚園、オブルチ消防署
両学校、幼稚園、精神病院の4か所はチェフコが支援を続けているところであり、昨年の寄付金の使い道の確認や現在の運営状況、直面している課題などについて調査しました。

 

   

ジトーミル市役所で副市長を訪問しました       ジトーミル第12学校

 

 

ジトーミル第12学校では体育の授業も見学させていただきました。昨年訪れたとき、「子どもの健康状態によって体育の授業のレベルを分けている」「体育の授業中に突然亡くなる子どもが出てきている」という衝撃的な話を聞いたため、実際の授業風景を見せてもらうことにしました。

       

見学したのは標準レベルの運動ができる子たちのクラス。日本と違うのは、運動後に脈拍を測って授業を続けていいかどうか判断するところです。

 

  脈拍を数える生徒たち。1分間に180回を超えなければOK

 

 

《交流プログラムの選考@オブルチ第3学校》

ことしの交流プログラムは、オブルチ第3学校の4人を招待します。

選考会では30人近い応募者の中から残った10人を1人ずつ面接させていただきました。「なぜ日本に行きたいか」「日本で学んだことをどう生かしたいか」といった質疑応答にくわえ、子どもたちの特技を披露するパフォーマンス部門を新たに設けました。

楽器を演奏する子、砂絵を描く子、オリジナルの詩を朗読する子、歌を歌う子など個性豊かな出し物で楽しませてくれました。

     

 

 

結果は翌日の終業式「ラストベル」で発表しました!選ばれた子たちは同級生に祝福されながら日本訪問に胸を膨らませているようです。

        

10人にジブリのクリアファイルをプレゼント  ラストベルでは幅広い年代の生徒がダンスや歌を披露

 

 

 

 

また、同校では福島でいつもお世話になっている「花見山を守る会」から頂いた桜の苗木を植樹してきました。

 

 

 

《シンポジウム》

現地の小児科医、チェルノブイリ被害者の会のメンバー、小児精神病院の先生らにご出席いただきウクライナの子どもたちの現在の健康状態や精神的な影響についてお話いただきました。また、日本側からはチェフコの活動と、3.11から7年がたった福島の現状をご紹介しました。避難者に対する賠償金や補償についてとても熱心に質問を受けました。

       

ウクライナの子どもたちには甲状腺ガンや呼吸器系の病気が多いというお話でしたが、全てがチェルノブイリ事故による放射能の影響ではなく、農薬が多く使われた野菜・果物を口にしていたり、土壌が汚染されていたりすることによる深刻な環境問題が関係しているという見方も強いです。

現に、医者たちも「今のウクライナに完全に健康な子どもはほとんどいない」と言っていたがその原因についてはチェルノブイリだとする見解と環境汚染によるものだという見解に分かれています。

 

《聞き取り調査@各施設》

各学校の先生や医院長らにインタビューをしました。

全て国立を訪れたので政府による経営が厳しいこと、予算が不十分なことが強く感じられました。

特に病院や消防署には十分な設備がそろっておらず、消防車がソ連時代から使用している旧式のものだったり消防士が着るためのまともな防護服がそろっていなかったりします。また、病院も骨折した患者を診ているのにレントゲンが無い、CTが無い、産婦人科に赤ちゃんの脈拍や鼓動を測る機械が無いなど日本では信じられない状況に置かれていることが分かりました。昨年は地域によって、医師・看護師の給料が払えずデモが起きたこともありました。

       

病院のスタッフたち            小児科の診察室。機械は古く、ソ連時代からのものも

 

 

         

子どもの育て方や注意事項                生まれたばかりの赤ちゃん

 

現地を訪れ、生の声を聞くことで自分たちの僅かばかりの支援でも役に立っていること、同時にまだまだ彼らが厳しい状況に置かれていてサポートが必要なことを肌で感じることができました。今回は、これまでより聞き取り調査に重きを置いて時間を割いたので、今回の情報を有効に活用し次回以降の支援の在り方を考えていきたいと思います。

 

 

番外編へ続く

 

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